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クリニックの実績

クリニックの実績(平成28年4月30日時点)

クリニックの成績

 平成22年5月1日開院してから、平成28年4月30日で6年が経ちました。この6年間に、乳腺関係で当院に診療で来院された方は13738人でした。また、無料クーポンなどを中心に、個別検診の乳がん検診で当院を受診された方は6740人でした。従って、開院以後6年間に、当院に新たに来院された乳腺関連の方の人数は20478人でした。
当院で乳癌と診断された患者さんは、開院後6年目の1年間で151人に増加し、6年間の総計は686人になりました。その内訳では、診療で来院された患者さんで乳癌と診断されたのは658人、検診で来院された受診者で乳癌と診断されたのは28人でした。当院では、診療での癌発見率は4.8%、検診での癌発見率は0.42%でした。マンモグラフィ検診による乳癌発見率の全国平均は約0.32%です(平成20年度)。乳腺クリニックでは、マンモグラフィ検診より約15倍と云う高い比率で乳癌が発見されました。その上、当院の個別検診は、対策型検診よりやや高い比率で癌が発見されました。
また686人の発見乳癌患者さんの内訳は早期乳癌468人・進行乳癌218人でした。現在のところ、当院の早期乳癌の割合は約68.2%となり、全国平均の約46%に比べて22%以上高い割合となりました。当院の早期乳癌比率が、検診発見乳癌に於ける早期乳癌比率の平均65%より高い状況を実現しました。

にしはら乳腺クリニック来院数概要(平成22年5月1日~平成28年4月30日)
乳腺関連来院数 ・・・ 13738 
発見乳癌総数 ・・・ 686名 (早期乳癌 468名/進行乳癌 218名)

乳癌患者さんの年齢別の特徴

 初年度の診療実績で30歳代の乳癌患者さんは進行癌の状態で多く発見された後、2年度目以降も継続して発見され、5年間に81名も発見されました。その上、3年度以降に20歳代の乳癌患者さんも10名も見られるようになりました。内分泌療法も難しい若年者乳癌の多さに、現実の厳しさを思い知るようになりました。
年齢別で最も特徴的なことは、40歳代の乳癌患者さんが突出して多く、228名となり、3名に1名が40歳代でした。お子様が小さい年齢層で全体の乳癌患者さんの半数に近づく勢いがみられることに、身が詰まる思いがします。その上、まだまだ若い50,60歳代も含めますと、9割以上になります。やはり、乳癌は出来るだけ発生初期の段階で発見しなければならないと、これまで以上に思いを新たにいたしました。

 

発見乳癌の臨床病理的特徴と実際の診療状況

 真の意味での早期の乳癌は、乳管内癌(Tis)及び浸潤径5mm以下(pT1a)です。当院では、浸潤径10mm以下(pT1b)も含めて、Tis, pT1a, pT1bを超早期乳癌と考えています。当院の超早期乳癌は252例でした。早期乳癌の53.8%、全乳癌の37%を占めています。
乳管内の留まっている癌である乳管内癌(DCIS)は、乳腺クリニックで発見されるべき乳癌です。現在、当院で発見されたDCISの症例数は、確認されているだけでも120例です。平成25年5月より当院で発見された2年間の乳癌患者440例のうちDCIS症例は、106例と全体の24.1%も占めていました。欧米以上の比率で、DCISが発見されるようになりました。今後、さらにその数を積み重ねて行きたいものです。 放置しておけば、必ず命を脅かす浸潤癌こそ、腫瘤径が小さい5㎜以下(pT1a)で検出されるべきです。しかし、臨床の実際では、偶然発見される状況でした。当院でも、開院後4年間ではpT1aの数は例外の域を出ない数でした。ところが、研鑚を積み重ねた後の5年目からの2年間で、pT1aの症例数が16例になりました。その結果、6年目にpT1a は2年間で発見された乳癌308例の5.2%を占めるようになりました。やはり、より小さい乳癌を検出する努力は必要であると実感しています。

 乳癌患者さんの内半数以上の方が術後の治療がホルモン剤のみとなり、抗癌剤を使わなくてすみました。このような患者さんは超早期乳癌と乳房パジェット病の多くの方と早期乳癌の一部の患者さんでした。その上、多くの患者さんが再び当院に戻られ、笑顔で通院され、共に喜びを分かち合っています。やはり超早期で乳癌を発見することができれば、ご縁のあった乳がん患者さんに大きな福音をもたらすことができると実感いたしております。開院して7年目になり、にしはら乳腺クリニックの基本理念である「超早期乳癌で乳癌を発見する」に着実に近づいています。今後も、理想に向かって日々努力したいと思っています。
 現在では、当然のように手術前治療が積極的に導入されています。ホルモン剤が効きにくい乳癌のタイプ(HER2 Rich型, Triple negative型)に、分子標的薬と抗癌剤の併用、又は抗癌剤単独の手術前投与により、原発の癌病巣が消失(pCR)した患者さんが増加して来ました。その上、抗癌剤が効きにくい、HER2陰性のホルモン受容体陽性型(Luminal型)のリンパ節転移を伴う患者さんが、手術前抗癌剤でpCRなった経験もいたしました。その結果、開院後4年目以降に、当院で乳癌と診断された患者さんのうち35名の方がpCRとなり、喜びをかみしめながら当院に通院されています。

乳癌確定診断の実際

 乳腺疾患の診断学で最も大切なことは、癌であるかもしくは癌ではないかを確実に区別することです。当院では超音波ガイド下の穿刺吸引細胞診検査法と経皮的針生検による病理組織診断法を用いて、肌にほとんど痕を残さずに診断することができます。開院後5年が経ち、穿刺吸引細胞診検査数は5462件、針生検検査数は904件になりました。年度を経るごとに、超音波を用いた病理診断の精度も着実に高くなって来ました。日々、乳腺自体の変化(いわゆる広義の「乳腺症」)と初期の癌病巣の鑑別に凌ぎを削っています。病理医の診断報告と臨床医の直接鏡検を含めた総合判断で、患者さんに精度の高いご報告をいたしております。今後も、1cm以下の病変を癌もしくは非癌に鑑別することを、画像と針先の感触及び乳腺病理組織像を組み合わせることにより、さらに研ぎ澄まして行っていきます。そして、年度を経るごとに増えてきた5mm以下の浸潤性乳癌病変(pT1a)、及び乳管内癌(DCIS)で発見される乳癌の割合を、さらに高めてまいりたいと思っています。

今後の進むべき道

 現在の乳癌治療の状況では、分子標的薬の登場などにより、乳癌患者の死亡率は著明に減少しました。乳癌治療は、徐々に患者さん個別の治療であるオーダーメイド治療の方向に向かっています。一昨年度から、姫路市の施策が変更され、無料クーポンの配布の対象者が5歳刻みから2歳刻みと、2.5倍に拡大されました。その結果、姫路市内の乳がん検診受診者は大幅に増加しています。その上、遺伝子診断(HBOC:遺伝性乳がん・卵巣がん症候群)診療が開始され、兵庫県内でも徐々に進みつつあります
しかし、多くの乳癌患者さんは進行癌で診断されている現実が、目の前で横たわっています。乳腺クリニック開院後6年間で見出した、今後の課題は後述の4つです。

  1. 少しの体の不調で内科診療所を受診するように、一般の女性が乳房の違和感などによる不安があれば、乳腺クリニックを受診する光景を創り出すために、我々医療従事者が努力すること。
  2. マンモグラフィ及び乳房超音波検査を精巧に駆使した針生検を行って、病理組織診断が難しい症例を数多く検出することにより、日々癌拠点病院の乳腺外科の先生方と切磋琢磨すること。
  3. マンモグラフィ検診の受診者増加に応需できる体制を整えること。
  4. HBOC診療で、乳癌関連遺伝子であるBRCA1/2の変異を指摘された方への、NCCNガイドラインに準拠した診断システムを構築すること。

 そして、乳癌治療に日々邁進されている乳腺外科の先生方の努力に報いるために、最初の医療機関である乳腺クリニックの医療従事者は、罹患を避けることのできない乳癌患者さんを、超早期乳癌で治療現場に送り出す使命を帯びています。

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