乳腺Q&A

よくあるご質問

回答一覧

お乳に痛みがあるのですが、乳がんではないでしょうか?

女性ホルモンの影響を受けて、乳腺組織が正常から少し逸脱した「乳腺症」と云う状態と考えられています。30歳後半から50歳前後の女性の方に多くみら れ、女性ホルモン分泌が不安定になることで痛みを感じることがあります。おおくの女性のかたが生理前に乳腺が腫れるのもこれが原因です。痛みがひどい方に は漢方薬(桂枝茯苓丸を中心に当帰芍薬散、加味逍遥散など)投与を行うことがありますが、特に治療の必要はありません。ただし、乳腺症と乳がんの区別は難 しいことがあるので受診をおすすめします。

ブログの中で乳腺痛について解説しています。

乳腺症とは何ですか?

月経周期で女性の子宮粘膜が変化するのと近い状態の乳腺と考えて良いと思います。乳腺組織が正常から逸脱した状態とも言われていますが、正常範囲内と考えてください。ただし、まれに乳管内組織などの増殖が目立ち悪性化するものもあるといわれています。その上、乳腺症の診断は難しいことがあるので受診をおすすめします。

お乳にしこりがあるようですが・・・

まずは受診をおすすめします。しこりを触った感じのイメージですが、良性はビー玉のようにつるつるしていて悪性はくるみのようにざらざらしています。かたさでは良性は弾力がありますが、悪性はとてもかたいです。しかし、乳腺組織の一部を触ってしこりのように感じることが多いようです。

片方の乳頭から血液が出ます・・・

まずは受診をおすすめします。血性・赤褐色・橙色の赤みがかかった乳汁は乳管内にできた腫瘍が原因である場合がほとんどです。乳がんだけでなく良性の乳管内乳頭腫の可能性もあります。

乳頭異常分泌についてブログで解説しています。よかったらのう胞についてと合わせてご参照ください。

皮膚が赤くなって脹れています・・・

熱を持って痛みが強いのであれば乳輪下膿瘍の可能性が高いです。痔ろう(あな痔)と同じような原因で起こります。原因となる乳管にばい菌が乳首から進入して炎症を起こします。時に膿をだす処置が必要になることがあります。最終的には原因の乳管を取り除くことができればもうなりません。
稀に炎症性乳がんという特殊な乳がんと見分けが難しい場合があります。

検査方法はどんなものがあるのでしょうか?

主体となるのはマンモグラフィと超音波検査(エコー)です。マンモグラフィは石灰化病変の描出に優れ、乳房全体を客観的に診断することができます。エコーはマンモグラフィに写らない乳腺組織に隠れた触れることができないくらい小さなしこりをみつけることができます。また、エコー装置に内蔵されたエラストグラフィを用いれば、しこりのかたさも測ることができます。
乳がんの最終診断はエコーを見ながらなどをして、針を刺して細胞や組織を取って顕微鏡でみた結果判断されます。細胞を取るときは採血と同じ大きさの針を使いますが、組織を取る時は少し大きい針を使います。

組織診断に関してブログの中で解説しています。参照してください。

石灰化病変は全てがんなのですか?

良性の石灰化と悪性の石灰化に分かれます。見分け方は難しく石灰化の形と分布の仕方で次のように5段階のカテゴリーで分けられます。1.異常なし 2.良性 3.良性が考えられるが悪性を否定できない 4.悪性の疑い 5.悪性。精度管理中央委員会が行う読影試験に合格した医者が読影することができます。

視触診や自己検診は意味がないのですか?

皮膚の発赤(乳房が赤みを帯びていること)・びらん(乳房の皮膚は欠けている状態でじめじめしていること)・皮膚陥凹(乳房の皮膚が癌で引っ張られて凹んでいること)・異常乳汁分泌(特に血が出ているとき)といった症状がみられればただちに受診してください。また自己検診については日頃から正常の自分の乳房の状態を把握しておくことで、異常があった場合に早期に気づくことが可能です。月経のある方は月経開始後5日目から1週間ごろが乳房のはりが少ないのでよいでしょうが、あまりこだわる必要はありません。

ブレスト・アウェアネスの考え方について、ブログの中に解説しています。ぜひ!読んでみてください。

乳がんで手術をすることになりました。手術をすれば再発しないのですか?

手術だけで根治することは難しいとされています。乳がんは全身病と言われており、乳がんと診断された場合はすでに全身に微小な転移があるといわれています。
そのために非浸潤がんを除いて手術後に全身に対しての治療が必要です。顕微鏡でがんの性格を調べて、その人にあった抗がん剤、ホルモン剤を組み合わせて治療を行うことになります。また抗がん剤を手術前に行うこともあります。しかし、大きさが1cm以下の"超"早期乳癌で発見されれば10年後の再発率は低く、しかもそれ以後の再発が極めて稀なのです。わたしたちはより多くの超早期乳癌を見つけてあげたいのです。

非浸潤がんとは何ですか?

乳がんの多くは乳管に発生したがんが乳管の壁を突き破り、乳管の外にある血管やリンパ管の流れにのって全身に広がっていくのが浸潤がんですが、逆に乳管内に留まっている早期のがんのことを非浸潤がんといいます。マンモグラフィ検診の導入に伴い、非浸潤がんの割合が増えてきています。この段階で発見されれば非常に生存率が高くなります。

手術にはどういった方法がありますか?

現在はがんの部分を部分的に切除する乳房温存手術の割合が、乳房を全部切除する手術より多くなっています。判断の間違えがなければ、手術方法によって生存率に差がないと考えられています。施設によって違いますが、50%以上は温存手術を行っています。ただし、3センチ以上、広範囲に乳がんが広がっている場合、乳がんを2箇所以上認める場合、放射線治療ができない時は、温存手術は推奨できません。

放射線治療は必要ですか?

乳房温存手術は残った乳房に放射線治療をすることで乳房をすべてとる手術と近い治療になります。またリンパ節転移が極端に多い場合や、がんが大きかった場合は胸壁に放射線をあてることで局所の再発を下げる効果があると考えられています。