2025.09.22
先日 尾道で乳腺の自己チェックについて講演させていただきました。
このブログを読んでおられる方で先に言えよ、と思われた方はすいません。次回10月4日にアクリエ姫路でしゃべりますので、よかったら参加してください。
私はその公演でも、また10月4日にも乳腺の自己チェックの必要性を繰り返し述べてきました。もちろんこのブログの中でもです。
理由はいくらでもありますが、2つ挙げてみます。
1 乳がんの5割以上はいまでもご自身で気づかれることによって見つかっています。自分で見つけるのだとしても早期発見するに越したことはありません。工夫したり、正しく施行することでよりちいさなしこりに気付けるのなら努力すべきです。
2 現状のマンモグラフィ検診による死亡抑制効果は30%強しかありません。乳がん患者さんの6割以上の方はたとえ検診を受けられていたとしても亡くなっていることになります。その6割の方が、検診と検診の間で自己チェックしておられたら、もしかすると小さな段階で気づけたかもしれない。
では正しい自己チェックの方法とはどういうものですか、となり、それを様々な形でお話ししてきたわけです。
しかし、そう話をすると、必ず「ではもうマンモグラフィ検診なんて受けなくてもいっしょなんじゃないですか?」という疑問が出てきます。先日の講演の際にもそうした質問を受けました。
これ本当に会場で聞いていただけたら大変ありがたい質問になります。これに応えておくことが非常に重要だからです。
この疑問に対する私の回答は二つあります。
子供さんがおられる方は、子供さんが横断歩道を渡るときに、かならず右をみて、左をみて、もう一度右を見て渡りなさいと教えるはずです。
「お母さん、信号は青なのに、なんで見ないといけないの?」
聞かれたらこう答えるはずです。
「本当は見なくてもいいよね。でもね、不注意で信号で気が付かないまま走ってくる車や、アクセルとブレーキを踏み間違えてしまうご高齢の方の事故もあったりしているから、気をつけておかないといけないんだよ。」
この会話に際して、子供さんがこう言われたらどうですか?
「どうせ自分で見て判断して渡らなければいけないなら、信号なんてなくていいんじゃないの?」
これと同じですよね。自己チェックは必要です。でもだからといってマンモグラフィ検診がいらないことにもならないし、まして意味がないことはなりません。
二つ目の根拠を示します。
歯をきちんと毎食後に磨いて普段から気を付けておられる人。
適当に磨く方、さすがに全く磨かない方はおられないでしょうが。
この二人の方のうち、歯科を定期的に受診して、チェックもしてもらっている可能性が高いのはどちらの方でしょうか。
もちろん前者ですよね。
本来逆でもいいはずです。でもそうなっていません。普段から自分の健康に気を配っておられるから検診も受診されるのです。普段から自分の健康に関心がない方は、まず検診も受診されません。この二つは比例するのです。
私は、乳腺の自己チェックは、歯磨きと同じように母から娘に習慣として教育してもらいたい、教育するものだと思っています。そしてそうした習慣づけがしっかりできておられる方は、検診に行け、と言われなくても必要な年齢になったら自発的に行くようになる。
検診を受診してその際に医師から習慣づけをしてもらう。これは歯科受診させればきちんと歯を磨くようになることを期待しているのと同じです。痛い思いをして反省させれば磨くようになるかもしれませんが、それは親が望むことではないでしょう。
そもそも歯も磨かずに歯科受診される方をどう思いますか?
健康に関して、きちんと自己管理する。
その延長線上に検診や人間ドックがあります。
毎日の習慣と、年に1-2回受診する検診、どちらも大事ですが、私は前者なしの後者はありえない、と考えます。煙草を吸いながら肺がんを気にして肺がん検診を受けるようなものです。それが悪いとは言いませんが、検診を受けても肺がんにならないようにはできない。早期発見ができるだけです。まずは肺がんにならない努力をすべきです。それをせずに、早期発見のための努力は惜しまない、それはやらないよりやったほうがいいですが、そもそも矛盾しています。
自己チェックは必要です。それは普段から意識する健康管理の一つです。
マンモグラフィ検診もその延長線上として必要であり、どちらかをすればどちらかがいらなくなるものではそもそもないのです。
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