2026.09.30
今までこのブログの中でなんどか 肥満と乳がんについて触れてきました。肥満が乳がんにとって、不利に働くことはもはや疑いようはない事実です。ただ今日ここで触れる内容は、皆さんに紹介することはためらわれる、化学が証明していない、確定していない事実です。それでも書くのは、体重のコントロールがいかに乳がんという疾患に大事か、多くのことを考えさせることになるからです。
その前置きで読んでくださることをお願いします。

私はいままで乳がんの患者さんに、体重の適切なコントロールをお願いしてきました。
その際、患者さんから「なぜ 太ると乳がんによくないのですか?」はよく聞かれます。
私がこうした場面でよくする説明をここで書きます。
「野生の動物は、基本的に毎日の食事をとることそのものが命がけです。何もしないでも餌がやってくるなんてことはありません。ライオンは百獣の王ですが、それでも大変です。餌になる動物も必死ですから。ライオンといえど、反撃されてけがをすることもしょっちゅう、命を落とすこともあるでしょう。だから肉食獣は、おなかがいっぱいなら基本、目の前をインパラがゆっくり草を食んでいても、興味を示しません。
そんなライオンでも、おなかがそれほど減っていなくても積極的に獲物を襲う時期があります。
子育てをしているときです。
子育てをしているとき、哺乳類はミルクを出さないといけません。
ただミルクは空腹だと出てきません。野生では、母親の死は、すなわち子供の死です。母親が元気で生きていることが、子供が大きくなることには必要不可欠、つまり母親が先、子供が後なのです。
だから母親が十分栄養が取れて、はじめてミルクが出せます。つまり母親は常に、自分のために10の栄養を餌から取らないといけないなら、子育てのタイミングでは常に11,12と食べないといけないのです。
だからお母さんなら知っています。お父さんはどんなにおいしいおいしいと言って食べていても、急にもう腹いっぱいだからいらん、とそっぽを向きます。そうなったら何を言っても食べてくれません。おいしいかどうかは別。オスはおなか一杯になると敵に襲われても戦えません。だから動けなくなるほど食べない本能があります。
でもそうなったら、もうしかたないわね、とおなか一杯のお母さんが残りを食べます。お母さんはおなか一杯でも11、12、13と食べられるのです。それはそういう風にできているからです。
ここで人間と動物が違うのは、人間は簡単にえさが手に入る、ということです。加えて野生の動物は避妊しません。たくさんえさが取れるときはたくさん子供を産みます。必要があって、供給があります。
ところが人間は子育てしていないときでも12、13と食べることが簡単で、食べてしまうのです。
それではどうなるか、肥満になります。
ここから逆にこうも考えられます。少なくとも子供を産める状態の女性が、12、13と食べれば、そのあまりの2、3はかならず乳腺を刺激している、でも乳腺が使わないから、皮下にため込むことになる。
だから肥満していく過程は、かならず乳腺を刺激している。
この話は 血糖値を下げるホルモンがインシュリンしかないこと、そしてそのインシュリンが乳がん細胞を刺激できること、こうした生物学的特性を絡めるともっと深堀できるのですが、ここまででやめておきます。
でも納得できるのではないでしょうか。
太るほど食べることは乳腺を、そして乳がん細胞を”刺激”する。おそらくそれは間違いないことなのです。


じつはここからが本題です。
近年、画期的な ”やせ薬”が開発されました。
GLP-1というホルモンがあります。これは、食事をすると腸から分泌されるホルモンの一つです。血糖値が上がるとインスリンの分泌を促し、血糖を下げる働きがあります。また、胃から食べ物が送り出される速度を遅くし、満腹感を長く保ちます。さらに脳にも作用して、食欲を抑える働きがあります。
この作用を利用した薬が「GLP-1受容体作動薬」です。もともとは2型糖尿病の治療薬として開発されました。その後、強い体重減少効果が分かり、現在では肥満症の治療にも使用されています。代表的な薬にはセマグルチド(ウゴービ®など)があります。チルゼパチド(マンジャロ®、ゼップバウンド®)は、GLP-1に加えてGIPにも作用する薬です。
主な副作用は、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛などの胃腸症状で、特に開始時や増量時に起こりやすくなります。まれですが、胆石・胆のう炎、膵炎、脱水などにも注意が必要です。
また、薬を中止すると食欲を抑える作用がなくなるため、体重が再び増える「リバウンド」が起こりやすいことが分かっています。
そのため、短期間だけ使用する「やせ薬」ではなく、食事・運動を含めた長期的な体重管理の一部として考える必要があります。
そしてこのやせ薬、効きます。それはもうしっかり効きます。
副作用も恐れず、リバウンドも無視して、個人輸入して飲んでいる猛者もいます(決して勧めません。医師の管理下でなければ危険です)。
だから、どうしても医師であればこう考えます。
「GLP-1受容体作動薬によって体重を減らすことが、乳がんの予防にもつながるのではないか」
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2026年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)では、肥満があり、遺伝や家族歴などから乳がんリスクが高い女性約8万人を調べた研究が報告されました。
GLP-1受容体作動薬を使用した女性では、使用しなかった女性と比較して、乳がんになる割合が低い傾向が認められました。統計学的な解析では、乳がんの発症リスクが約16%低いという結果でした。
特に、BMI(計算方法はネットでたくさん出ています)が40を超える高度肥満の女性や、乳がんの家族歴がある女性などで、その傾向が強くみられました。
また、閉経後の女性では乳がんリスクの低下がみられましたが、閉経前の女性では明らかな差は確認されませんでした(これ以外ですよね)。
別の約11万人を対象とした研究でも、GLP-1受容体作動薬を使用していた女性では、乳がんが見つかる割合が低いという結果が報告されています。
すでに乳がんと診断された患者さんについても興味深い報告があります。
約13万7千人の乳がん患者を調べた研究では、GLP-1受容体作動薬を使用していた患者さんの5年生存率は95.8%、使用していなかった患者さんでは91.3%でした。
たしかに使っていた人のほうが、確率からだけ見れば長生きされていた。ただし、この差が「GLP-1受容体作動薬そのものによって乳がんの予後が改善した」ことを意味するわけではありません。体重減少や糖尿病の改善、心血管疾患の減少など、乳がん以外の健康状態が改善した影響も考えられるためです。
現時点では、乳がん予防を目的としてGLP-1受容体作動薬を使用する段階ではありません。
今回報告された研究はいずれも、すでに治療を受けている人たちのデータを後から比較した「観察研究」です。そのため、「薬を使ったから乳がんが減った」と証明されたわけではありません。
例えば、薬を処方された人と処方されなかった人では、年齢、肥満の程度、糖尿病、生活習慣、医療機関への受診状況などに違いがある可能性があります。こうした違いが結果に影響している可能性もあります。
研究者自身も、乳がん予防効果を確認するには、今後、より厳密な臨床試験が必要だと強調しています。ただ理論的に、”効果があるに違いない”という魅力があります。おそらくこれからも詳しく調査され、いつかは実践導入されるかもしれません。
ここで私が述べたかったのは、新しい薬の紹介ではありません。
やせるのに、必ず薬をつかわなければならないのではない、自分の努力でもやせれます。少なくとも太らない努力はできるし、するべき。そう思いませんか?
参考文献:DISCLOSURE: Dr. Gotera, Dr. Jones, Dr. McDonald, Dr. Hung, and Dr. Jackson reported no conflicts of interest. Dr. Sukumar has received honoraria from Amplity; has held a consulting or advisory role with NEJM Group; and has received research funding from The Bristol Myers Squibb Foundation.
REFERENCES
1. Gotera NP, Jones C, Gelfond J, et al: GLP-1 receptor agonists for primary prevention of breast cancer in high-risk women: A real-world analysis of efficacy and safety. 2026 ASCO Annual Meeting. Abstract 10520. Presented June 1, 2026.
2. McDonald ES, Gillis L, Gabriel P, et al: Association of GLP-1 agonists with breast cancer incidence in women. 2026 ASCO Annual Meeting. Abstract 10506. Presented June 2, 2026.
3. Sukumar JS, Niu J, Jackson I, et al: Real-world treatment patterns and mortality associated with GLP1-RAs in breast cancer patients. 2026 ASCO Annual Meeting. Abstract 629. Presented June 1, 2026.
2026.09.30
今回の内容はかなり限定された方向けになります。乳がん、卵巣がんと診断された方、あるいは近しい肉親にそう診断された方がおられ、ご自身が遺伝的にそういう疾患に罹患しやすいと診断された方に向けて書いています。こうした方では予防的に乳腺、あるいは卵巣を摘除することが保険で認められています。ただ、何歳までに施行するべきかに関して、まだ議論が続いているのです。
BRCA1、BRCA2という遺伝子の名前を聞いたことがある方もいるかもしれません。
これらは、細胞のDNAに生じた傷を修復する働きを持つ重要な遺伝子です。がん抑制遺伝子と呼ばれます。誤解のないように言っておきますが、この遺伝子はがんを引き起こす遺伝子ではなく、その反対です。だからこの遺伝子に生まれつき病的な変化(以降 病的バリアントと呼びます)がある女性では、乳がんだけでなく、卵巣がんや、その他のがんを発症する危険性も一般女性より大幅に高くなります。
今回、医学雑誌「JAMA Surgery」に、BRCA1またはBRCA2に病的バリアントを持つ女性について、「何歳までに卵巣・卵管を予防的に摘出するのがよいのか」を考えるうえで重要な研究が発表されました。
JAMA Surg Published Online: September 23, 2026 doi: 10.1001/jamasurg.2026.4356
BRCA1・BRCA2に病的バリアントを持っていても、必ずがんになるわけではありません。そしてがんは早期発見されればきちんと治ります。だから病的バリアントを持っておられる方は必要な時、必要な内容で、検診をされることが勧められますが、それ以外では全く健康な人生を享受できるのです。
乳がんの場合には、MRIやマンモグラフィなどを定期的に行い、がんが発生したら早期に発見するという方法が比較的一般にも知られており、病的バリアントの有無にかかわらず、実践されておられる方も多いはずです。
ところが卵巣がんでは事情が異なります。
超音波検査や腫瘍マーカーなどを用いた検診が研究されてきましたが、現在のところ、乳がん検診のように「定期的に検査していれば早期発見できる」という確実な方法は確立されていないのです。
そこで、BRCA1・BRCA2に病的バリアントを持つ女性では、がんが発生する前に両側の卵管と卵巣を摘出する手術が、乳がんと比較しても重要な予防法とならざるを得ません。この手術を「リスク低減卵管卵巣摘出術」(RRSOと略されます)と呼びます。

現在、予防的な卵管卵巣摘出術は、一般にBRCA1にバリアントがある方では35~40歳頃、BRCA2では40~45歳頃までに行うことが推奨されています。
しかし実際には、これは簡単な決断ではありません。
卵巣を摘出すれば、その後の卵巣がんの危険性を大幅に減らすことができます。一方、閉経前に卵巣を摘出すれば妊娠することができなくなり、女性ホルモンも急激に低下します。そのため、妊娠・出産の予定、仕事や家庭の事情、閉経による身体への影響などを考えて、手術を遅らせたいと考える女性もいます。
それでは、
「手術を45歳まで待ったら、どのくらい危険なのか」
「50歳まで待つと、どのくらい危険なのか」
「すでに60歳、70歳になっている場合でも、今から手術する意味があるのか」
という疑問が生じます。
今回の研究は、まさにこの問題を検討したものです。
研究には、世界24施設から集められたBRCA1またはBRCA2病的バリアント保有女性5,713人が参加しました。
その内訳は、BRCA1 4,286人 BRCA2 1,427人 という膨大なものでした。
研究開始時の年齢は30~74歳、平均42歳でした。平均約4.4年間追跡し、その間に249人が卵巣がんを発症しました。4年間で約5700人中約250人が発症していると考えれば、4%の方が発症しているのでそれだけでも警戒しなければならないことがよくわかります。
研究者はこれらの実際のデータをもとに、年齢ごとの卵巣がん発症率と、他の原因によって死亡する可能性も考慮して、「現在何歳で、何歳まで手術を延期した場合、その後一生のうちに卵巣がんを発症する危険性がどのくらい残るのか」を計算しました。
手術を行わなかった場合の生涯の卵巣がんリスクは、
BRCA1:約55%
BRCA2:約24%
と推計されました。
つまりBRCA1の場合には、卵巣・卵管を残したまま生涯を過ごすと、非常に高い割合で卵巣がんを発症する可能性があります。
BRCA2でも一般女性に比べれば明らかに高いリスクですが、BRCA1とは発症する年齢や危険性の大きさが異なります。
したがって、「BRCA陽性」と一括りにするのではなく、BRCA1なのかBRCA2なのかを分けて考えることが重要です。
最初の前提で述べましたが、現在の基準では、「予防的な卵管卵巣摘出術は、一般にBRCA1にバリアントがある方では35~40歳頃、BRCA2では40~45歳頃までに行うことが推奨」されています。
今回の研究で特に重要なのは、BRCA1とBRCA2では、卵巣がんが増えてくる年齢がかなり違うことです。たとえば30歳の女性が現在金純とされる年齢で、予防的な卵管卵巣摘出術を行わず、閉経が期待される、つまりほぼ妊娠することがない50歳まで手術を延期した場合、それまでに卵巣がんを発症するリスクはどうなるのか、
BRCA1では23.9%
BRCA2では3.5%
と推計されました。
BRCA1では、およそ4人に1人に近いリスクです。一方、BRCA2では50歳までのリスクは比較的低く、両者には大きな違いがありました。
BRCA2では、手術をさらに延期するとリスクが次第に上昇し、30歳からみて、55歳まで延期すると7.7%、60歳まで延期すると12.8%、65歳まで延期すると17.2%、と推計されました。この段階でもBRCA1の50歳に届きません。
つまりBRCA1では40歳代から卵巣がんの危険性が急速に高くなるのに対し、BRCA2ではその上昇がより遅いのです。
この違いは、現在、予防的卵管卵巣摘出術がBRCA1ではより若い年齢、BRCA2ではそれより遅い年齢で推奨されていることとも一致します。
したがって、「BRCA遺伝子に変化があるから、全員同じ年齢で手術する」と考えるのではなく、BRCA1なのかBRCA2なのか、現在何歳なのか、そして何歳まで手術を延期したいのかによって、その間に負うリスクを個別に考えることが重要です。
もう一つ、この研究が扱った重要な問題があります。閉経し、高齢になれば、少なくとも妊娠を期待することはないため、その意味で手術をためらうことはないはずです。でも「もうさすがに70歳を超え、それでも卵巣がんになっていないのだから、今さら予防手術をしても意味がないのではないか」という問題です。
研究では、75歳の時点でも、その後一生の間に卵巣がんを発症する残されたリスクは、
BRCA1:約8.4%
BRCA2:約3.7%
と推計されました。
したがって、高齢になったからといって、卵巣がんの危険性が完全になくなるわけではありません。
特に健康状態が良好で今後も長い余命が期待できる女性では、高齢であっても予防手術について検討する余地がある、と研究者らは指摘しています。
今回の研究は、「全員が35歳で手術すべき」「50歳を過ぎたら必ず手術すべき」という新しい年齢基準を決めた研究ではありません。むしろ、「手術をあと何年待つと、その間にどの程度の卵巣がんリスクを負うことになるのか」を、BRCA1・BRCA2の違いや現在の年齢に応じて具体的に示そうとした研究です。
これは患者さんが手術の時期を考える際に非常に重要な情報になります。
予防的な卵管卵巣摘出術には、卵巣がんのリスクを減らすという大きな利点があります。
しかし一方で、閉経前の女性では妊娠・出産への影響や、卵巣機能を失うことによって急激に女性ホルモンが失われ、更年期症状や骨粗しょう症をはじめとした身体への悪い影響もあります。また、BRCA1かBRCA2かだけではなく、現在の年齢、卵巣がんの家族歴、これまでに乳がんを発症しているか、全身状態などによっても判断は変わります。
したがって、「BRCAだから何歳で手術」と機械的に決めるのではなく、
自分が現在何歳で、手術を何年延期すると、その間にどの程度の卵巣がんリスクを負うのか
を理解したうえで、遺伝診療、婦人科、乳腺診療などの担当医と相談することが重要です。
今回の研究は、そのような個別化された意思決定を行うための、具体的な数字を提供した研究といえるでしょう。
参考論文
Giannakeas V, Apostol AI, Diella C, et al. Projected Benefit of Bilateral Salpingo-Oophorectomy by Age in BRCA Carriers. JAMA Surgery. Published online September 23, 2026. doi:10.1001/jamasurg.2026.4356.
今回の内容はかなり限定された方向けになります。乳がん、卵巣がんと診断された方、あるいは近しい肉親にそう診断された方がおられ、ご自身が遺伝的にそういう疾患に罹患しやすいと診断された方に向けて書いています。こうした方では予防的に乳腺、あるいは卵巣を摘除することが保険で認められています。ただ、何歳までに施行するべきかに関して、まだ議論が続いているのです。
BRCA1、BRCA2という遺伝子の名前を聞いたことがある方もいるかもしれません。
これらは、細胞のDNAに生じた傷を修復する働きを持つ重要な遺伝子です。この遺伝子に生まれつき病的な変化(病的バリアント)がある女性では、乳がんだけでなく、卵巣がんを発症する危険性も一般女性より大幅に高くなります。
今回、医学雑誌「JAMA Surgery」に、BRCA1またはBRCA2に病的バリアントを持つ女性について、「何歳までに卵巣・卵管を予防的に摘出するのがよいのか」を考えるうえで重要な研究が発表されました。
BRCA1・BRCA2に病的バリアントを持っていても、必ずがんになるわけではありません。
乳がんの場合には、MRIやマンモグラフィなどを定期的に行い、がんが発生したら早期に発見するという方法があります。
ところが卵巣がんでは事情が異なります。
超音波検査や腫瘍マーカーなどを用いた検診が研究されてきましたが、現在のところ、乳がん検診のように「定期的に検査していれば早期発見できる」という確実な方法は確立されていません。
そこで、BRCA1・BRCA2に病的バリアントを持つ女性では、がんが発生する前に両側の卵管と卵巣を摘出する手術が重要な予防法になります。この手術を「リスク低減卵管卵巣摘出術」と呼びます。
現在、予防的な卵管卵巣摘出術は、一般にBRCA1では35~40歳頃、BRCA2では40~45歳頃までに行うことが推奨されています。
しかし実際には、これは簡単な決断ではありません。
卵巣を摘出すれば、その後の卵巣がんの危険性を大幅に減らすことができます。一方、閉経前に卵巣を摘出すれば妊娠することができなくなり、女性ホルモンも急激に低下します。
そのため、妊娠・出産の予定、仕事や家庭の事情、閉経による身体への影響などを考えて、手術を遅らせたいと考える女性もいます。
では、
「手術を45歳まで待ったら、どのくらい危険なのか」
「50歳まで待つと、どのくらい危険なのか」
「すでに60歳、70歳になっている場合でも、今から手術する意味があるのか」
という疑問が生じます。
今回の研究は、まさにこの問題を検討したものです。
研究には、世界24施設から集められたBRCA1またはBRCA2病的バリアント保有女性5,713人が参加しました。
その内訳は、
BRCA1 4,286人
BRCA2 1,427人
です。
研究開始時の年齢は30~74歳、平均42歳でした。平均約4.4年間追跡し、その間に249人が卵巣がんを発症しました。
研究者はこれらの実際のデータをもとに、年齢ごとの卵巣がん発症率と、他の原因によって死亡する可能性も考慮して、「現在何歳で、何歳まで手術を延期した場合、その後一生のうちに卵巣がんを発症する危険性がどのくらい残るのか」を計算しました。
手術を行わなかった場合の生涯の卵巣がんリスクは、
BRCA1:約55%
BRCA2:約24%
と推計されました。
つまりBRCA1の場合には、卵巣・卵管を残したまま生涯を過ごすと、非常に高い割合で卵巣がんを発症する可能性があります。
BRCA2でも一般女性に比べれば明らかに高いリスクですが、BRCA1とは発症する年齢や危険性の大きさが異なります。
したがって、「BRCA陽性」と一括りにするのではなく、BRCA1なのかBRCA2なのかを分けて考えることが重要です。
今回の研究で特に注目されるのが、この数字です。
30歳のBRCA1病的バリアント保有女性が、予防手術を50歳まで延期すると、その間に卵巣がんを発症するリスクは**約23.9%**と推計されました。
およそ4人に1人です。
もちろん、これは「50歳になったら24%の人が突然がんになる」という意味ではありません。30歳から50歳まで手術を行わず卵巣・卵管を残した場合、その期間に積み重なっていくリスクを表しています。
この結果は特にBRCA1では、「閉経する50歳頃まで手術を待てばよい」と単純に考えることには、かなり大きなリスクが伴うことを示しています。
もう一つ、この研究が扱った重要な問題があります。
「もう70歳を超えているから、今さら予防手術をしても意味がないのではないか」という問題です。
研究では、75歳の時点でも、その後一生の間に卵巣がんを発症する残されたリスクは、
BRCA1:約8.4%
BRCA2:約3.7%
と推計されました。
したがって、高齢になったからといって、卵巣がんの危険性が完全になくなるわけではありません。
特に健康状態が良好で今後も長い余命が期待できる女性では、高齢であっても予防手術について検討する余地がある、と研究者らは指摘しています。
ここは、この研究を理解するうえで非常に重要です。
今回の研究は、
「全員が35歳で手術すべき」
「50歳を過ぎたら必ず手術すべき」
という新しい年齢基準を決めた研究ではありません。
むしろ、
「手術をあと何年待つと、その間にどの程度の卵巣がんリスクを負うことになるのか」
を、BRCA1・BRCA2の違いや現在の年齢に応じて具体的に示そうとした研究です。
これは患者さんが手術の時期を考える際に非常に重要な情報になります。
予防的な卵管卵巣摘出術には、卵巣がんのリスクを減らすという大きな利点があります。
しかし一方で、閉経前の女性では妊娠・出産への影響や、卵巣機能を失うことによる身体への影響もあります。また、現在の年齢、BRCA1かBRCA2か、卵巣がんの家族歴、これまでに乳がんを発症しているか、全身状態などによっても判断は変わります。
したがって、「BRCAだから何歳で手術」と機械的に決めるのではなく、
自分が現在何歳で、手術を何年延期すると、その間にどの程度の卵巣がんリスクを負うのか
を理解したうえで、遺伝診療、婦人科、乳腺診療などの担当医と相談することが重要です。
今回の研究は、そのような個別化された意思決定を行うための、具体的な数字を提供した研究といえるでしょう。
参考論文
Giannakeas V, Apostol AI, Diella C, et al. Projected Benefit of Bilateral Salpingo-Oophorectomy by Age in BRCA Carriers. JAMA Surgery. Published online September 23, 2026. doi:10.1001/jamasurg.2026.4356.
非浸潤性乳管がん(=DCIS)についてはこのブログでも何度も触れてきました。DCISについての説明はそちらをまず参照してください。
ご存じの通り、DCISは超早期がんとされます。皆さんの感覚的にはいわば前がん病変です。
DCISは転移しません。したがって再発しません。きちんと取り切ってしまえばその意味からは確実に根治します。
ただDCISに限らず乳がんは、乳腺の組織の中に埋まりこんでいます。もともとがんと正常な乳腺組織は目で見ても区別はつきにくいのですが、手術の際には外科医は乳がんを、埋まりこんでいる正常な組織に包み込むように切除するので、結局外科医はがんを目で確認しながら切除しているのではないのです。
がんが肉眼的に目で見て判断できるものだったとしても、見えてしまえばそれはとり切るどころか、がんに切り込んでしまっています。見えないようにとらないといけない。あんこ餅を作っているとして、どこから見ても真っ白なおもちにする。あんこが漏れたらいけない。でももしあんこが白かったら漏れてもわからないので、そもそも包むのは難しい。みたいなものでしょうか?(漏れても真っ白ではあるかw)
手術は人の手によって行われるので、”きちんと”取り切れているかどうか、それは古くて新しい問題です。

この写真は DCISで切除手術を受けられた方の病理標本です(苦手な方には申し訳ありません)
手術で摘出された乳腺組織は、ホルマリンで固めた後、このように病理の先生が薄くスライスして検査をします。そしてマッピングといって、図の水色で書かれたラインの部分ではDCISがありましたよ、と教えてくださるわけです。これで見る限り、縞模様に見えますが、この縞と縞の間は、がんがないのではありません。ナルトを薄く切ったら渦巻きが見えますが、あれはどこを切ってもあの模様です。

つまり顕微鏡で観察すると、上の図のようにがんは広がっていたのではないか、と推察できるのです。DCISは地中で広がるジャガイモの根に、じゃがいもができてくるみたいなでき方をするので、こうしてスキップしていたり、形も凸凹していることが決して珍しくありません。
そして右下にある黄色の矢印の部分、ここで、がんと切除断端が一番近接していることが分かります。この図では5mmは確保できています。実際の手術ではこの断端距離の確保の目標は決まっており、それを目指して外科医は努力するのですが、繰り返しになりますが、肉眼ではがんをがんとして正常組織と区別がつけられない以上、それをmm単位で調整することは物理的に不可能です。
JAMA Surgeryという信頼性の高い学術誌に、このDCISと断端の問題に関する研究結果が最近発表されました。ホルモン受容体陽性のDCISで、切除断端にはがんを認めない(=これを断端陰性といいます)ことが病理結果として出ている閉経後女性が対象になりました。
登録は2003年1月6日から2006年6月15日まで、NSABP加盟の大学病院および地域病院で行われたもので、研究データは2024年7月から2025年4月にかけて解析されました。
もともとの乳房部分切除術の切除断端の距離のデータ上、1mmマージン幅の分割グループに2707人の患者が、2mmマージン幅の分割グループに2546人の患者が含まれました。
同側(がんの切除を受けた側)乳房内での腫瘍再発は最も一般的な最初のイベントであり、2707人の患者のうち90人(3.3%)に発生しました。マージン幅が1mm未満の502人の患者のうち24人(4.8%)、マージン幅が1mm以上の2205人の患者のうち66人(3.0%)でした。
マージン幅の判別閾値として 2 mm を使用した場合、マージンが 2 mm 未満の患者 879 名中 39 名 (4.4%)、マージンが 2 mm 以上である患者 1667 名中 49 名 (2.9%) が同側乳房内でのがんの再発を経験しました。
この補助解析の結果から言えることは、閉経後ホルモン受容体陽性のDCIS女性において、乳房温存手術、全乳房照射、および補助内分泌療法を受けた場合、切除縁幅を1mm未満または1mm以上とした場合と、切除縁幅を2mm未満または2mm以上とした場合のIBTR率の絶対差は小さいことを示しています。
この距離がないから再手術をして全摘する、という考え方は不要なのではないか、ともいえるのではないでしょうか?
人間がやることなので、どんなに気を付けても2-3%ではエラーが起こってします。とすればそこは許容した上で、手術の方法を考えていく、という考え方をしないと、なんでもかんでも根こそぎ切除してしまう、という以前の手術に逆戻りですよね
非浸潤性乳管がん(DCISと呼ばれます)はステージ0の超早期がんと呼ばれます。DCISは理論的に転移を起こすことのない癌です。肺や肝臓はそのすべてを切除することに人間は耐えられませんが、乳腺はすべて切除することもできる臓器ですから、DCISに関してはどれほど大きくても、転移はしていないので、乳腺を全切除すれば理論的にはその時点で間違いなく完治します。再発はない、転移もおこらない、だから切除さえできれば確実に治る、その意味で早期がんです。
ちなみに非浸潤がんとことなり、浸潤がんにはステージ 0 はありません。もちろんステージ I は早期がんですが、浸潤がんはわずかな確率ですが、転移、再発がありえます。現在の成績的には1%強、つまり100人の早期の浸潤がんの患者さんがおられれば残念ながら一人は再発される、ということになります。そしてその違いからDCISは ”超”早期がんともいわれたりします。
転移しない、だから再発しない、そのことからDCISには、術後に抗がん剤やホルモン剤を投与することは不要とされてきました。ただ実はホルモン剤に関しては飲んでいる方はおられます。

もちろんDCISの中にも女性ホルモンに感受性のない種類のものがあり、それはいかなる場合も薬は使いません。また抗がん剤はホルモン剤と比較して、副作用が強く、メリットとデメリットのバランスから考えてDCISに使われることはないと思います。
つまりホルモンに感受性のある非浸潤性乳がんは、術後にホルモン剤を投与するべきか?の問題になります。これ、ちなみに我々の教科書にはなんて書かれているか。
「閉経状況にかかわらずタモキシフェンの投与を弱く推奨する:推奨の強さ:2,エビデンスの強さ:強,合意率:90%(43/48)
閉経後の場合,アロマターゼ阻害薬の投与を弱く推奨する:推奨の強さ:2,エビデンスの強さ:強,合意率:83%(40/48)」
48人中40から43人は投与を勧めるとなっています。しかし弱く。何とも中途半端な答えですね。
タモキシフェンとアロマターゼ阻害剤の違いについて話をすると長くなるので、簡単にまとめますが、アロマターゼ阻害剤はタモキシフェンと異なる副作用があり、先のメリットデメリットのバランスの観点から、推奨する先生の割合が減っているのです。
ただこの結果を見る限り、DCISの術後にホルモン剤を引用されている方は多いと思われます。
「え、転移しないのに? 再発もしないのに?」 「いらないでしょ!」 そういう声がしそうです。
なぜ弱くであっても、推奨するのか? その理由は2つあります。
ひとつは言葉は悪いのですが、”取り残し”です。DCISは小さながんの芽、ポリープが乳腺の中に散在するように発生することがまれではありません。たとえ乳腺を全切除しても、乳腺は皮膚の臓器なので、周辺の皮膚の中にその芽が残ることがあります。それが何年かたって姿を現してきたとき、それは”取り残し”なのか、それともそのあとからわずかに残った正常な乳腺から発生してきた新しいものなのかは区別できないのです。
手術する人間にとっても “全摘゛した乳腺にまたがんが発生するのはとんでもないことです。何としても避けたい。しかし 超早期がんであるDCISを全摘するのはただでも気が引けるのに、大きな傷で引き連れを残すような手術もしづらいです。
ホルモン剤を飲んでもらったらせっかく手術をしたそのあとの乳腺からまた癌が発生することを防ぐことができる、これはもうわかっています、だから推奨することがあるのです。
もう一つは対側、反対側の乳腺の発生です。先に述べた切除されていても、温存されていたら、その残った同側の乳腺に新しく発生する乳がん、これもホルモン剤を飲んでいれば抑制されることが分かっているのです。いわば予防です。

近年 ホルモン感受性ありの非浸潤性乳癌(DCIS)の術後の女性について、ではタモキシフェンを正規の20㎎ではなく、1/4量として5mg、あるいは1日おきに10㎎を飲む、としたらどうなるか?を調査した論文がGandini先生らによって発表されました。
この研究では、エストロゲン受容体陽性または不明の非浸潤性乳管癌(DCIS)、微小浸潤癌、または高リスク乳腺病変を有する女性を対象とした3つの臨床試験の個々の患者データを用いました。
これらの試験では、患者はタモキシフェン5mgを1日1回、または10mgを隔日で2~5年間投与される群、あるいは対照群(プラセボまたは無介入)に分けられました。主要評価項目は乳がんのない期間であり、これは同側または対側の浸潤性乳がん、DCIS、局所再発、または遠隔転移の初回発生までの期間と定義さました。
今回の研究対象となったのは1,545人の女性です。これらの女性をだいたい9.4年間追跡調査しました。
低用量タモキシフェンを投与された患者さんでは、全体的に乳がんに関する異常が発生するリスクが低下しました。ただ閉経状態によって治療効果にばらつきが見られたようです(P = .01)。
閉経後の女性では、低用量タモキシフェンを投与された335人中40人に乳がんイベントが発生したのに対し、対照介入を受けた401人中93人に乳がんイベントが発生しました(ハザード比[HR] = 0.51、95%信頼区間[CI] = 0.35~0.73、P < .001)。つまり対側の浸潤性乳がん、DCIS、局所再発、または遠隔転移が発生する確率が0.51倍になった、=半分になったということになります。
低用量タモキシフェンは、こうした乳がんイベントを10年間で11.2%減少させていました。
閉経前の女性では、その効果は少し乏しくなり、低用量タモキシフェンを投与された448人中127人、対照介入を受けた335人中107人にイベントが発生しました(HR = 0.90、95% CI = 0.70~1.17、P = .45)。確率が0.90となっていますので、対側の浸潤性乳がん、DCIS、局所再発、または遠隔転移が発生する確率が0.90倍になった=1割減っただけとも言えますが、低用量タモキシフェン投与群では、対側乳がんの強いリスク低下が認められました(HR = 0.45、95% CI = 0.26~0.76)。これは0.45ですから、対側乳がんの発生が半分以下まで抑制された、ということになります。
重篤な有害事象(副作用)はまれであり、低用量タモキシフェン投与群と対照群で同様でした。
研究者らは、「低用量タモキシフェンは、閉経状態および発症部位によって差はあるものの、乳がん発症の持続的な減少と関連していた。これらの知見は、DCISおよび高リスク病変における予防療法のベネフィット・リスクプロファイルを改善するために、内分泌療法の用量漸減を支持するものである」と結論付けています。
非浸潤性乳がん(DCIS)は、もともとそれで亡くなることはないがんですので、その後にホルモン剤を飲用されても、死亡抑制効果はありません。ただだからこそ、もう一度乳がんに罹患されるリスク、新しい乳がん、反対側の乳がん、温存した乳腺に出てくる乳がんのリスクは無視できません。タモキシフェンをたとえ半分でも飲んでいれば、そのリスクが半分まで抑制されるとしたら、弱く推奨、飲んでくださるならそのほうがいい、と考える医者が多いのも理解できますよね。
ただ現状、この通常の量の飲み方と異なり、ちょっとだけ飲む、というやり方はわが国では一般的ではないことは理解してください。また量を減らすと金銭的負担は必ず下がりますが、効果は変わらないのか? 副作用はそのぶん減るのか?は今回の研究では直接調べられていないことに注意してください。
私が医者になった30年前ごろと比較して、本当に乳房全摘は行われなくなりました。日本乳がん学会が出しているガイドラインにも腫瘍径が3㎝以下でなければ温存してはいけない、と書かれていましたが、それも徐々に緩和され、今では要するに取り切れていればいい、にまで緩和されています。
ちなみに乳がんは2㎝以下が早期がん、つまり ステージ I とされますので、早期がんだろうがそうでなかろうが、手術そのものは取れればいいのであって、必ずしも全摘する必要はない、ということになります。いまでは1.5㎝以下であればラジオ波といって、がんに針を刺し、焼き切ることで手術そのものを行わないことも標準治療の仲間入りしています。
乳房全摘は本当に行われなくなりました。それでも治療成績は変わらない。もちろん温存すれば、ラジオ波で切らないようにすれば、治療成績が上がるわけではありません。治療成績が変わらないだけ。ただこれが非常に重要なのです。
つまり乳がんだからと言って、乳房を全摘する必要はない。そういうことになるからです。

がんは細胞1個であっても発生すればがんです。ただそれを発見する方法はありません。それが2個 4個 8個と増えていっても同じです。最低限5mmないと現状の検査で見つけることは困難であるとされます。
5mmを超え、1.5cmまではラジオ波といって腫瘍に針を刺し、電磁波で焼き切ることで手術をせずに治すことができます。これはすでに標準治療です。(大きさ以外にも条件はあります)
2cmまでは早期がんである、とされます。(これも大きさ以外に上限がありますが、原則として2cmを超えていればDCISを除いて早期がんとされることはありません。)
3cmまでは温存切除で対応可能である、とされますが、実は腫瘍を取り切れていれば何cmあっても温存できます。皆さんにとって、術後に乳頭が残っていて、乳房の形がまだ保たれていれば温存したことになると思います。今では同時再建も可能なので、その意味からは乳頭そのものががんに侵されていない限りは ほぼほぼ全例で温存できるともいえます。
そしてそのどの方法を採用したとしても、治療成績に差がないこともわかっています。
「私は若いし、子供も小さい。絶対に死ぬわけにいかない。温存は選びません。乳房は全摘します。」
そういわれる患者さんはたくさんおられます。それは医師も同じ気持ちを持っており、特に若く、悪性度の高い乳がんの患者さんに対しては、今までより積極的な手術、つまり全摘が主流でした。
ただ乳房切除術は、高リスクの局所進行乳がんの若い女性の生存率を改善しなかったことが近年明らかになりました。2010年から2022年にかけて、45歳以下の女性の60%が乳房切除術を受けましたが、全生存率に有意差は認められませんでした(ハザード比0.74、95%信頼区間0.40~1.38)。手術時に40歳未満の女性も、乳房切除術による生存率の向上は見られませんでした。むしろ、腫瘍の生物学的特性と全身療法への反応、つまり術前に施行された抗がん剤やホルモン剤が効いたか効かなかったか、それが生存率を左右する唯一の重要な要因でした。
カリフォルニア州アーバインにあるシティ・オブ・ホープ・オレンジカウンティのジェニファー・ツェン医師は、米国乳腺外科医協会のシアトルでの会議の中で、今回の研究結果は、高リスクの早期乳がんを患う若い女性における乳房切除の必要性に関する従来の考え方に疑問を投げかけるものだと報告しました。
「手術でどれだけの範囲を切除するかは、患者の生存期間や乳房および周囲組織のがん再発の有無に影響を与えませんでした」とツェン氏は記者会見で述べた。「組織学的グレードと、全身療法後であっても残存したがんの総量は、患者の生存期間と乳房および周囲組織のがん再発の有無に影響を与えました。つまり、腫瘍の生物学的特性と薬物療法への反応は大きな違いをもたらしますが、温存するか、全摘するかを含めた乳房の手術範囲の選択は違いをもたらすことはないのです。」
ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックのティナ・ハイケン医師(記者会見の司会者)は、「乳房温存を重視する若い女性にとって、この研究は朗報です。特に、人生において乳房温存が非常に重要となる時期にある女性にとってはなおさらです」と述べました。発表された論文には、患者と治療の特徴に関するより詳細なデータが掲載されており、乳がん専門医と患者が現在の診療状況を踏まえて研究結果を解釈するのに役立つでしょう。
「全身療法における進歩によって、若い女性が乳房を温存できる可能性が出てきたことは、本当に喜ばしいことです」とハイケン氏は述べました。
乳房手術の選択には、腫瘍の大きさ、がんの再発に対する患者の懸念、家族歴、遺伝的素因など、複数の要因が影響しますが、歴史的に見ると、乳がんを患う若い女性は、高齢の女性よりも乳房切除術を受ける頻度が高いのです。
「しかし、特に術前に抗がん剤やホルモン剤の補助療法を受けている患者にとって、より広範囲に乳房を手術で切除したからと言って、それが治療の成功にどれほどのメリットをもたらすかは明らかとは言えないのです」とツェン氏は述べた。「より広範囲な手術は、胸壁の感覚の永久的な喪失、身体イメージや自尊心の問題、性的な幸福感や興奮への影響、運動能力の低下、経済的負担の増加など、女性に大きな負担をかける可能性があるため、大規模な切除を加えることには慎重でなければなりません。」
乳房温存手術(BCS)と乳房切除術後の転帰を比較するため、ツェン氏らはI-SPY2臨床試験のデータを遡及的に検討しました。
I-SPY2臨床試験は、もともとは乳がんの治療成績を向上させるために、新規の術前補助療法を評価することを目的に設計されたものです。現在標準治療とされている抗がん剤による治療群と、新しい抗がん剤が出て、それが効きそうなら加える群に分けるもので、データ分析には、2010年4月から2022年6月までにI-SPY2に参加した1,737人の患者が含まれました。45歳以下の女性は、研究対象集団の約40%を占めました。つまり別の目的で組まれた臨床試験のデータを、流用してほかの分析に使ったわけです。
この臨床試験に参加された方を年齢で2つのコホート群に分けました。人種/民族、ホルモン受容体サブタイプ、腫瘍/リンパ節の特徴、組織学的グレードなど、患者または腫瘍の特徴に有意な差は認められませんでした。さらに、術前補助療法後の残存癌量(RCB)の分類分布も両群間で差はありませんでした。
結果:しかし予想通り、若い患者は45歳以上の女性(51.5%)に比べて乳房切除術を選択する頻度が高(症例の63.2%)かったことがわかりました。
2010年には症例の25%未満だった乳房温存手術(BCS)の割合は、2022年までの時間の経過とともに変化して、若い女性であっても増加していました。腋窩手術の範囲は、若い患者と高齢の患者で差はありませんでした(センチネルリンパ節生検65.0%対65.4%、腋窩リンパ節郭清35.0%対34.6%)。
追跡期間の中央値は5.4年です。全生存期間(OS)イベントは45歳以下のグループで80件、45歳以上のグループで120件発生し、局所再発は、若年患者で58件、45歳以上のグループで75件発生しました。多変量解析では、生存率( P =0.346)または局所再発のない期間に、手術の種類による差は認められませんでした。
生存率に有意な影響を与えたのは、組織学的グレード(III vs I/II、HR 2.46、95% CI 1.08-5.58、P =0.031)とRCB(RCBの範囲が広がるにつれてハザードが増加、P =0.003~P <0.001)のみでした。
「乳がんの手術方法の選択は心情的なものも含めて、様々なものがあることは分かっていますが、今回の研究は、若年であることだけでは必ずしも乳房切除術が必要ではないことを裏付けています」とツェン氏は述べました。
まとめ: 若い方、さらに抗がん剤を必要とする悪性度の高いがんであれば、心情的にも乳房全摘を選びがちになります。しかし ただ若いから、という理由だけで全摘を選んでも、結局生存率も、局所再発率も差は出ない、ということが今回わかりました。
私はこのブログの中で、DCISは前がん病変であって、皆さんの認識している命の危機に直結するがんとは異なる、という立場の論文をたくさん紹介してきました。もちろん今でもそう思っています。
これについてはぜひ先にこのブログを参照ください。
そして実際にDCISと診断され、これから手術を受けようとする患者さんにとって、これが悩まれる原因になりえることも認識しています。しかしだからと言って情報を発信するのを控えるのであれば、最初からブログなど書かなければいい。情報の選択はしますが、正しいと思ったことは責任もってこれからも発信していくつもりです。
DCISの問題以外でも、様々な患者さんから、セカンドオピニオンとして問い合わせをいただくことがあるのですが、その中でもやはり、相談される方に時間的にも余裕がなく、説明も難しい問題が、題名でも触れた、「実際にDCISと診断されたのですが、本当に手術を受けないといけないのでしょうか?」の問題です。今回のブログでは、患者さんとの間で実際に行われたやり取りを紹介しながら、これを悩まれている患者さんの意思決定の助けになればと考えています。

まず患者さんの訴えについて、疑問について紹介します。
患者さんは以下のような考えをお持ちでした。
1 DCISであれば急いで手術しなくてもよいのではないか(前述のとおり、たしかに私はCOMET試験の結果としてそのことをブログで紹介しています)
2 ホルモン療法(例:タモキシフェン)で様子を見たい
3 切除せずに経過観察する、あるいは低侵襲治療の可能性を探りたい
これに対して私が述べたのは
「経過観察」という選択肢について 近年、DCISに対して手術を行わず経過観察をしても大丈夫だとする結果を出した、臨床試験も存在し、またそう考えておられる乳腺専門医も多いと思います。
ただしまず最初に、すべてのDCISがそれに当てはまるわけではありません。つまりDCISにも低リスクのものと高リスクのものがあるのです。高リスクの場合、これはつまり”偽の”DCISの可能性があるもの、となります。有名なCOMET試験においては、臨床所見上浸潤性疾患の証拠がない、核の異型度が低く、Grade 1-2である、ホルモン受容体陽性、HER2 陰性の低リスクの DCIS を持つ 40 歳以上の女性を低リスクと定めていました。つまり切除しないという選択肢は、一定条件を満たすDCISの場合に限って検討されたもの、ということになります。
加えて、現時点では論文の発表の段階であって、一般的な標準治療として確立されていません。だから経過観察は保険診療として認められないのです。 たとえば経過観察を選んだとしても、その経過観察をたとえばマンモグラフィだけですればいいのか? MRIを併用するのか? 超音波検査で行うのか? そしてそれは1年おき? 半年おき? 決まっていません。だからもしMRIで経過観察してもらおう、と患者さんが決めたとしてもそれは保険適応にすらなりません。医師がMRIでの経過観察を選んだとしても基本それは同様です。
先のブログでも述べたとおりです。
1 DCISと診断はされました。しかし5%は含まれていると思われる”偽の”DCIS、実は浸潤がんだった時の責任はだれがとるのか?
2 シェリー・ファン先生が真のDCISは経過観察をしても大丈夫だということを明確に示した、とはいえ、それは確定はしていません。そんな状況で、たとえ2年間であっても、あるいはその後の一生であっても、だれが責任もって”積極的モニタリング”を行っていくのか?(近くにファン先生がいれば別ですけれども)
この二つの答えはまだ出ていません。研究結果が出たとしても、それを実践するには解決しなければいけない課題があります。たとえこの1,2が解決できたとしても、わが国においては、積極的モニタリングを選択したときに、そのための保険診療報酬まで整備されていなければ、医療機関では実施できません。
新しい抗がん剤が開発され、学会で効果が証明されても、明日から使えるわけではない、それと同じ構図です。
上記の赤枠で囲んだ文章の1、2が非常に重要なポイントになります。これを法的、さらに現実的な観点から述べればこうなります。
現在 標準治療(手術)とされている治療を行わずに病状が悪化した場合、 医療訴訟では不利になる可能性が高いです。医療は「患者と医師の信頼関係」で成り立つが、医療訴訟の現場では、最終的に残された家族との係争になることが多いため、信頼関係はそこでは存在しません。
そのため医師個人の判断で、標準治療ではない、「手術しない方針」に積極的に協力することは難しいのです。
患者さんはホルモン療法への期待を持たれていましたが、ホルモン剤は「増殖を抑える薬」であり、がんを消す薬ではありません。確かにDCISから浸潤がんへの移行を防ぐ効果は期待できますが、それを行うことは標準治療として確立されていないのです。腫瘍内部には多様な細胞が存在しすべてが同じように反応するとは限りません。そのため長期的に安全とは言い切れません。COMET試験の結果も2年間に限定されていました。
ただ微妙ではありますが、ホルモン剤の投与そのものはDCISが証明されていれば保険適応になります。その運用が標準ではないことになりますが、保険診療としては認められるでしょう。術前ホルモン療法は保険適応だからです。患者さんが手術を納得されるまで、できるだけ悪化を防ぐ目的で医師が使用するのなら問題はないからです。
ただし、ここでも、標準治療ではない治療法として、ホルモン剤でDCISを長期で経過観察をしていて、もし悪い経過となった時、だれがどう責任を取るのかの問題が出てきます。加えてCOMET試験が標準治療に組み込まれても2年までです。結局2年後にはどうするかの問題が出てきます。
患者さんは再建も視野に入れていました。
残念ながらDCISは、早期乳がんであるにもかかわらず、切除の際に全摘の適応になることも珍しくないのです。これが患者さんにとってさらに抵抗感の原因になります。
ただ現状、DCISを切除して、全適後に限らず乳房再建を行うことは標準治療であり、保険適応です。そして浸潤がんではなく、DCISの段階で治療すれば 再建の選択肢が広く、結果も良好になりやすい。つまり早期であればあるほど、治療は美容面で有利になります。
ここまで述べてのべてきたように、DCISに限らず、医療行為はすべて「医学的に可能か」だけでなく、「社会的・法的に許容されるか」 「将来の不利益をどう考えるか」 まで含めて判断する必要があります。
医師としての結論はシンプルです。経過観察を希望する場合、 厳密なフォローとリスク理解が必須になります。そして 改善がない、または不変であれば早期治療を強く推奨します。かといって現状2年間の経過観察をすることは標準治療とは言い難く、またフォローする方法も確立していません。保険適応かどうかも疑問があります。だから主治医は常に1日でも早く手術を勧めるのです。
理由は明確です。DCISの段階で治療できるか 浸潤癌になってから治療するか この差は極めて大きいからです。
ただ手術には患者さんの同意が必須とされています。たとえ医療において確立された標準治療ですら、患者さんの同意なしには施行できないのです。どこまで行っても、患者さんがその治療方針を、納得して選んだか、それがもっとも重要な要素になるのです。
ですから、医師がどれだけ勧めたとしても、患者さんが納得し、手術同意書にサインしない限り、手術は行われず、結果として見かけ上は経過観察されることになります。ただこの際に医師から「命の保証はできません」と言われることがあるでしょう。しかしこれは決して冷たい言葉ではなく、「この選択はあなた自身の判断になります」という意味です。
最後に、現在日本乳がん学会ではDCISの手術についてどのように記載されているか、引用したいと思います。興味があられたら、医師用に書かれた文章ですが、読んでみられることを勧めます。
2026年5月現在 ここから読めます。
「安全に非切除を行うことが可能な群を探索する前向き試験が世界で行われているが,どのような非浸潤性乳管癌に非切除を安全に行うことができるかは明らかではない。」
「患者の中には手術を希望しない方も存在する。しかし現時点では,非浸潤性乳管癌に対して安全に非切除を選択できる群は明らかではないため,基本的に切除が勧められる。」
私が最初に述べたとおり、そういった選択肢が正当であることは医師も認めている。ただ標準治療として確立しているとはいいがたく、現状では手術が第一選択であり、標準治療である、とする立場になります。
乳がん術後に放射線治療を行うことで、局所の再発を極端に抑制することができることはよく知られています。特に乳房を温存する切除を行った後では、がんがあった部位周辺の取り残しを根絶するために、そしてリンパ節転移があった症例では、がんからリンパ節、リンパ節からその周辺へのがんの流れを焼いておくことで、局所再発をしっかりと抑制できます。
しかしたとえば乳腺の端のほうにあった小さな乳がんであっても、温存切除で残された乳腺すべてに放射線治療をする必要はあるのでしょうか?
乳がんがしこりが十分小さく、またリンパ節転移もなく、さらに切除後の病理のプレパラートでみても、がんのしこりの周辺にがんが広がる傾向が認められない場合、腋窩や、鎖骨の周辺への放射線治療はいらないのではないでしょうか?
また手術の前に抗がん剤による治療を受け、その後の手術でがんがほぼ消失してしまったことが証明されたときに、術後の放射線治療は本当に必要なのでしょうか?
今年 バルセロナで開催された第15回欧州乳がん会議(EBCC15)で発表された、10年間にわたるオランダの研究(RAPCHEM; BOOG 2010-03)によって、化学療法と手術後に、患者個々のリスクに合わせて放射線療法を行ったとしても、乳がんの再発率は低いままであることがあきらかになりました。
この研究では、化学療法と手術後に患者のリンパ節に乳がん細胞の痕跡が見られるかどうかに応じて、オーダーメイドの放射線治療が選択されました。リンパ節にがんの痕跡が残っていない女性の場合には、本研究では放射線治療を最小限に抑えるか、あるいは全く行わないことを選択しました。治療規模を縮小することで、もちろん患者の副作用を軽減することができます。
この研究は、オランダのマーストリヒト放射線腫瘍研究所(Maastro)で放射線腫瘍医研修中のフルール・モーリッツ医師によって発表されました。彼女は次のように述べています。「乳がん患者の多くにとって、最初の治療は化学療法です。これにより、手術前に腫瘍を縮小させ、体内に広がり始めているがん細胞を死滅させることができます。いっぽう放射線療法は、特に乳房全体ではなく腫瘍のみを切除する手術を受けた患者や、リンパ節にがんの兆候が見られる患者において、乳がんの再発リスクを低減することが知られています。この研究では、手術前に化学療法を受けた際にがんが良好な反応を示した患者において、放射線療法を縮小できるかどうかを検証しました。」
本研究には、2011年から2015年の間にオランダの17の癌センターで治療を受けた848人の患者が含まれました。各患者は、5cm未満の小さな乳房腫瘍を持ち、様々な検査において1つ、2つ、または3つのリンパ節に転移があると診断されています。
術前に化学療法を施行し、その後に手術を行った後、患者さんは3つの異なるリスクグループに分類されました。
リンパ節にがんの転移がないと診断された患者さんは低リスクと分類され、手術で腫瘍が切除され、乳房は温存された場合は残った乳房への放射線療法が行われ、乳房全摘術を受けた場合は放射線療法は行われませんでした。(筆者注:現在の通常の治療では、化学治療後に転移の兆候が消えていても、腋窩や、鎖骨周囲に放射線治療を加えます
リンパ節に1~3個の転移の兆候が見られた患者は中リスクに分類され、近くのリンパ節には照射せずに乳房領域のみに放射線療法を行いました。(筆者注:現在の通常の治療では、化学治療後に転移の兆候が残っていたら、確実に腋窩や、鎖骨周囲にも放射線治療を加えます。)
4つ以上のリンパ節に転移の兆候が残っていた患者さんは高リスクと分類され、乳房領域および周囲のリンパ節への放射線療法による治療が行われました。
その後の10年間で、追跡調査を完了した838人の患者のうち24人(2.9%)が、乳房、胸壁、またはリンパ節に再発したが、体内の他の部位への癌の転移は認められませんでした。低リスク群では291人中7人(2.4%)が再発し、中リスク群では370人中12人(3.2%)が再発し、高リスク群では177人中5人(2.8%)が再発しました。(筆者注:つまり差がありませんでした。)
マウリッツ博士は、「私たちの研究結果は、リンパ節の癌治療における化学療法の効果に応じて、副作用を抑えるために放射線療法の範囲を調整したとしても、乳房とその周辺領域における再発率が非常に低く、安心できる結果につながることを示しています。特定の患者グループでは、放射線療法を全く行わなくても、再発率が非常に低いことが確認されています」と述べました。
彼女は続けて、「本研究の大きな強みは、この患者群に対する放射線療法の個別化による効果を10年間にわたって初めて実証した点です。逆に本研究の限界というか、問題点は、研究対象となった患者のほとんどが腋窩リンパ節郭清術を受けたことです。この手術は10年前には一般的でしたが、現在の臨床現場ではあまり行われていません。(筆者注:腋窩郭清を全くせずに、つまりセンチネルリンパ節生検だけであったなら、同じ結果が出るかわからない、ということです。)また本研究では、放射線療法を受けた患者と受けていない患者を比較していません。(筆者注:本研究では全く行わなくても大丈夫かまでは検討していません。)
最終的な結論を得るには、米国/NSABP(ClinicalTrials.gov識別子NCT01872975)による無作為化試験の結果を待つ必要があります。結果は3年後に発表される予定です。」と述べました。

私がこの発表にひかれたのは、放射線治療をオーダーメイドする、という観点です。
いまはいい意味でも悪い意味でも、”ガイドライン”がガチガチに整備されていて、いわゆる主治医の判断が入り込む余地はなくなっています。これによって全国どこに行っても同じレベルの治療が受けられるようになりましたが、逆に患者さんと主治医が話し合って治療を決定していく、という要素がほぼなくなってしまっています。極端に言えば、AIに治療を決めてもらっても、主治医に決めてもらっても、変わりがないのです。誰がやっても一緒、いやむしろAIのほうが最新のガイドラインまですべて網羅しているので、優れている可能性があります。
ただ治療を受けるのは患者さんであり、人間であり、個別に訴えを持ち、治療に対する希望があります。
このブログでもたびたび述べていますが、たとえば閉経後乳がんじゅつごのホルモン治療は現在ほぼアロマターゼ阻害剤(AI)一択です。SERM(タモキシフェン)より明らかにがんの再発も、乳がんによる死亡も抑制することが分かっています。
でもAIは骨粗しょう症を引き起こします。関節痛、膝の痛みや、指のこわばり、腰痛などの原因になります。そして長期投与で骨がもろくなってしまうのです。
これは私自身の希望ですが、私は長生きはしたいですが、寝たきりになるくらいなら、早くいきたい、子供に迷惑をかけて長生きするのは嫌です。だから骨粗鬆が明らかになるまではAIでもいいですが、それが分かれば早急にむしろ骨を守ってくれるタモキシフェンに変更してほしい。
でもいまのところガイドラインには骨塩定量、つまり骨粗しょう症の検査結果に応じて、SERMとAIを使い分ける提案はされていません。
放射線治療も同様です。
私はNSMやSSM、つまり皮膚を温存して乳房は全摘し、インプラントで同時再建する術式をDirect to Implantと呼ぶのですが、この手術は温存切除であり、全摘ではない、だから放射線治療を加えたほうがいい、と考えています。
しかし現状 ガイドラインでは放射線治療はいらないとされています。
ただ再建された乳房全体に放射線治療を当てると、再建が失敗することを最大として様々な合併症を引き起こします。ですので、たとえばがんがあった部位の周辺だけは放射線治療をしておく、であるとか、血流が少ないため合併症の原因になりやすい、乳腺のTop、乳頭付近だけは避けて周辺だけは当てておく、乳頭より内側にがんがあった場合には、胸骨周囲には当てておく、など、個別に応じて放射線治療ができればいいのに、と考えていた時期がありました。
リスクがコントロールできれば、NSM、SSMの対象とできる疾患も広がります。
この研究のように、医師の裁量部分を増やす動きは、いままでの反動として重要なのではないか、と考えています。ガイドライン一辺倒で、思考停止となるのではなく、患者さんという人間が、医師という人間と話し合いながら治療を模索していく、そういう時代に戻ってほしい、とそう願っているのかもしれません。
2026.04.06
「先生、サプリメントとか、飲んじゃだめですか?」
これは患者さんから本当によく尋ねられる質問で、昔からずっと変わりません。
がんの治療には、手術・抗がん剤・放射線治療などの「標準治療」があります。
これに対して、「補完代替医療(ほかんだいたいいりょう)」とは、簡単に言い切ってしまうならばこれらの治療以外の方法を指します。補完医療と代替医療があるのですが、その違いは、補完医療は標準治療と「一緒に使う」もので、ヨガ、アロマ、サプリメントなどです。代替医療は標準治療の代わりに使うもので、民間療法のみで治療しようとする場合です。重要なのは、代替医療だけでがんを治すことは、現在の医学では証明されていないという点です。というよりも証明されればそれは標準治療だからです。
最近 JAMAという雑誌に、この質問に対するしっかりした答えが掲載されています。これをここでまとめてみたいと思います。

はじめに
過去数十年にわたる乳がんの外科的および内科的治療における革新により、乳がんの全生存率は向上しています。手術、化学療法、放射線療法、内分泌療法、免疫療法などの従来の治療法は確実に進歩し、結果を出しているにもかかわらず、一部の患者さんは依然として補完代替医療(CAM)を選択し、施行しています。そこで本研究では 乳がん患者におけるCAMと生存率との関連性を明らかにしたいと考えました。
方法ですが、本研究では、2011年から2021年にかけて乳がんと診断された女性患者に関する国立がんデータベースのデータを分析しました。生存期間は、従来治療群、従来治療と代替医療併用群、および無治療群の間で比較されました。データは2025年5月から2025年12月にかけて分析されました。補完療法または代替療法については、非医療従事者によって実施される治療と定義しました。
その結果について、乳がんの女性患者2,169,202人のうち、2,157,219人(年齢中央値[IQR]、62歳[52-71歳])がサンプルに含まれました。
合計2,106,665人(97.6%)が従来療法を受け、273人(<0.1%)がCAMのみを受け、568人(<0.1%)がCAMと従来療法の併用を受け、49,713人(2.3%)が治療を受けていませんでした。
従来療法を受けた患者と比較して、CAMのみを受けた患者(調整ハザード比[AHR]、3.67、95%信頼区間、3.03-4.44、P < .001)または治療を受けなかった患者(AHR、3.53、95%信頼区間、3.48-3.58、P < .001)は死亡リスクが最も高いという結果になりました。
*ハザード比ですが、「従来療法を受けた患者と比較して、CAMのみを受けた患者ではハザード比が3.67でした」という表現によって、従来療法を受けた患者と比較して、CAMのみを受けた患者では3.67倍死亡する確率が高い、という意味になります(筆者注)
従来療法とCAMを併用した患者は、従来療法のみを受けた患者と比較して、内分泌療法(ステージIIでは40.7%対65.2%、P < .001)および放射線療法(ステージIIでは59.5%対36.6%、P < .001)を受ける可能性が低いということが分かりました。
従来療法とCAMを併用した治療を受けた患者は、従来療法のみを受けた患者と比較して、死亡率が高いという結果でした(AHR 1.45、95% CI 1.22-1.72、P < .001)。

上のグラフはカプランメイヤー法によるもので、X軸で右に行くほど、時間が経過していることになります。12moと書いてあればそれは12か月経過した時点を指します。Y軸は生存率です。時間経過が0の時点では全員が生存していても、1年2年と経過するにつれ、亡くなる方が出て、生存されておられる方は減っていきます。つまり傾きが大きいグラフほど、生存率が低いという結果になります。
Traditional: 従来の標準治療
Combination: 標準治療と補完療法の併用
CAM: 代替療法のみ
No Therapy: 治療なし
今回の結果で、代替補完療法のみの患者さんが、治療なしよりも生存されていることには驚きました。そういう見方で見る方もおられるかもしれません。
ただ今回の研究は大規模ですが、それだけに様々な制限がかかっていると考えられます。
たとえば 今回の研究において代替療法とされた分類では、実は選択した多くの患者が見落とされている可能性があります。たとえば無治療とされても、実は補完療法を受けておられたり、標準治療のみとされていても、補完療法をこっそりされていたりです。その中には治療結果が大きく異なる患者もいるかもしれません。私の経験からしても、補完療法を併用されている方は0.1%程度では収まらないと思います。
ただそれを考えても、これだけの規模で比較すれば、小さな誤差は埋められると思います。
補完療法を受けられる方は、標準治療をきちんと完遂されない方が多く、そのため、治療成績が落ちる。
代替療法では、標準治療に成績では及ばない。
このことは今回の結果から明らかなのではないでしょうか?
2026.03.23
現在 人工知能(AI)を用いたマンモグラフィの読影が、進歩し、場合によっては人間の読影を凌駕する成績が出るようになってきています。少なくとも、人間の負担を減らし、発見率を上げることはすでに証明済みといってよく、確実な事実です。恐ろしいのはいったんAIの助けを借りるようになれば、人間の読影技術はそれによって進歩するのではなく、ほぼ確実に劣化することも指摘され始めています。いったん依存してしまえばもはや抜け出せないのです。
その問題はいつか触れるとして、最近、AIの助けを借りれば、定期的なマンモグラフィー検査で心血管疾患のリスクが高い女性を特定できる可能性があることが、ある後ろ向きコホート研究で示唆されました。
マンモグラフィの画像診断で、AIによって算出された乳房動脈石灰化の量が多いほど、内部検証コホートと外部検証コホートの両方で、その後の大きな心血管イベント(例えば狭心症、心筋梗塞など)のリスク増加と関連していました。例えば、高齢でリスクの高い外部検証コホートでは、乳房動脈石灰化が進行した女性は、追跡期間の中央値7年間で心血管イベントを経験するリスクが高くなっていました。

上記のMMGにおいて 黄色い線で示しているところは乳腺の動脈です。そこに沿って白い小さな点がびっしりと認められます。この動脈に”動脈硬化”が発生し、そこに石灰(カルシウム)が沈着することで描出されるようになったものです。
軽度の乳房動脈石灰化(>0-10 mm 2):調整済みハザード比 1.28(95%信頼区間 1.17-1.39)
*乳房動脈石灰化のない方と比べて心血管イベントを起こす可能性が1.28倍あるということ
中等度の乳房動脈石灰化(10~25 mm2 ):調整済みハザード比 1.79(95%信頼区間 1.55~2.06)
重度の乳房動脈石灰化(>25 mm2 ):調整済みハザード比 2.80(95%信頼区間 2.36-3.32)
「私たちの研究は、定期で行われるマンモグラフィー検査における、AIによる自動的な乳房内の動脈の石灰化の定量化が、大規模な多民族集団における心血管系有害事象の強力かつ独立した予測因子であることを示しています」と、アトランタのエモリー大学のハリ・トリヴェディ医師らは、この研究で示しました。
「この手法は、追加の放射線被曝なしに、定期的なマンモグラフィー検査中に心血管リスク評価を提供し、女性に対するより早期かつ効果的な予防医療を導く可能性がある」と彼らは結論付けました。
トリヴェディ氏らは、乳房内の動脈の石灰化が1mm²増加するごとに、主要な心血管イベントのリスクが2~3%有意に増加することを報告しました。この結果は、50歳未満の女性を含むすべての年齢層で有意であり、従来の危険因子やPREVENTリスクスコアとは無関係で、独立したものでした。(PREVENTリスクスコアは最近米国の学会において、汎用的な心血管リスク層別化ツールとして宣伝されたものです。)
「乳房内の動脈の石灰化の定量化は、PREVENTのような包括的なリスクモデルに取って代わることを意図したものではないことに留意することが重要です」と著者らは説明しています。「むしろ、乳房内の動脈の石灰化は、見過ごされがちなリスクの高い患者を特定し、かかりつけ医による正式な心血管リスク評価を促すための強力な指標として機能する可能性があります。」
「あなたがすでにマンモグラフィー検査を受けている女性の場合、この検査は、心臓の健康状態に関する重要な情報を提供し、コレステロール検査や投薬などの予防策について医師と話し合うきっかけにもなります」と、トリヴェディ氏はプレスリリースで述べています。「臨床医にとっては、現在見過ごされている心血管疾患リスクの高い女性を特定するための実用的な方法となります。」
マンモグラフィ検査は定期的に行われるものであるため、それと一緒に心血管リスクも評価するスクリーニングが可能であるならば、それには大きな意味があります。なぜなら、心血管疾患(CVD)は米国では重要な死亡原因の一つだからです。
米国では、女性における乳がんは一貫して診断は遅れがちで、かつ受けられる治療も十分とは言えない状態にあります。乳がんの早期発見のためのマンモグラフィーの受検率は40歳以上の女性において70%近くに達しています。
実際には、マンモグラフィーで乳房内の動脈の石灰化が指摘された場合、心血管疾患リスク因子の最適化と心不全予防を並行して行うべきであると、カリフォルニア大学サンディエゴ校のロリ・ダニエルズ医師は付随する論説で提言しています。
「重要なのは、乳房内の動脈の石灰化は、単純に心臓の冠動脈石灰化とイコールではなく、代用指標ではないということです」と彼女は書いている。「両者は相関関係にあるものの、病理学的には異なります。しかし動脈中膜に主に存在している乳房内の動脈の石灰化は、血管の老化と動脈硬化を反映しています。この区別は臨床的に重要です。なぜなら、これらの併存疾患は心室硬化、ひいては心不全、特に駆出率が保たれた心不全の発症と強く関連しているからです」と彼女は付け加えました。
トリヴェディ氏らは、この後ろ向き研究において、スクリーニングマンモグラフィーを受けた2つの医療システムに属する女性を対象としました。1つはエモリー・ヘルスケアの内部(自施設)検証コホート(n=74,124、平均年齢55.5歳)、もう1つはメイヨー・クリニックの外部(他施設)検証コホート(n=49,638、平均年齢59.5歳)です。主要心血管イベントおよびPREVENTのリスク変数は、電子カルテから抽出されました。主要心血管イベントには、急性心筋梗塞、脳卒中、心不全、および全死因死亡が含まれます。
乳房内の動脈の石灰化分析では左右両方の乳房を対象としましたが、各患者の最終結果としては、検出された値が最も高かった側の乳房のみを使用しました。最終的に、研究参加者の16.1%(内部コホート)および20.6%(外部コホート)で乳房内の動脈の石灰化が検出されました。
「本研究は、単一の包括的なリスクモデルをある施設で開発し、それを別の施設で外部検証するという従来の方法とは異なり、異なる集団における乳房内の動脈の石灰化の定量化の予後予測価値を検証することを目的として設計されました」と著者らは述べています。「言い換えれば、私たちの目標は、集団全体に適用できる『最適な』リスクモデルを作成することではなく、ベースラインリスクが異なる集団においても、独立した予測因子としての乳房内の動脈の石灰化の付加的な価値を示すことでした。普遍的なリスクモデルを開発することの難しさは、動脈硬化性心血管疾患やPREVENTリスク計算ツールが特定の集団にはうまく適用できないことを示すデータにも表れている」と彼らは付け加えました。
(この部分は難しいですが、こうした検証はある程度施設に依存していて、ある施設では成り立つけれども、他施設では成り立たない、がありうるということをできるだけ排除するように考えた研究です、と言っています。つまりどの施設であっても、このことは成り立つ、と言っているわけです。)
特筆すべき点として、この研究は人種的にかなり多様であったものの、アジア系、ヒスパニック系、ネイティブアメリカンの代表性は依然として限られていた。
「この研究のユニークなことは、実用的で直感的な報告指標である乳房内の動脈の石灰化を面積(mm²)として定量化した点にあります。あるなしの感覚的なものを、定量化し、それが心血管疾患のリスクにつながることが証明されました。これは単なる主観ではありません。物理的な単位を用いることで、ベンダー間の標準化を加速させ、再現可能な閾値を容易にし、実装ワークフローを円滑化できる可能性があります。(難しくいっていますが、つまりAIに組み込んでしまえば、どの施設でも心疾患リスクを同時に判定できるようになる可能性がある、」
「乳房内の動脈の石灰化の面積をわれわれは指標としましたが、最終的にどのような報告指標が採用されるかにかかわらず、女性の重要な死因である心疾患の予防を推進するために、女性が既に信頼を寄せている接点であるマンモグラフィ検診を活用し、乳房内の動脈の石灰化の評価を観察段階から実施段階へと移行させるべき時が来ています」と彼女は結論付けました。
2026.03.07
AI(アリミデックスやフェマーラ、アロマシン)なのか、SERM(タモキシフェン、トレミフェン)なのか、これが実はとても深い問題を含んでいるのです。
簡単に言い切れば、乳がんによる死亡を抑制してくれる効果はAIを100点としたらタモキシフェンは89点です。たしかに弱い。
そして副作用に関しては代表的なものを挙げるとタモキシフェンは子宮体癌、AIは骨粗しょう症になるでしょう。
え、副作用ががんなの、癌の再発を抑えるために他のガンが発生してたら意味ないじゃん。それならAIの圧勝でしょう。皆さんもそう思いますか?私は違う考え方をします。
これに関して、詳しくはこのブログで何度も触れてきましたが、子宮体がんはタモキシフェンを飲んでいなくても65歳以上であれば年間千人に一人は発症します。つまり0.1%です。飲んでいる方で多く見積もって1000人に二人なので0.2%と考えられます。
AIによる骨折の発生ですが、5年以上継続した場合、1.35倍になります。65歳以上の女性では10万人あたり年間約 646人 が大腿骨骨頭骨折を経験するとされていますので、千人に6人、0.6%とされます。もちろんこれは大腿骨骨頭に限定していますので、腰椎の圧迫骨折なども含めるともっと確率は上がります。
そしてもう一つ大事な情報ですが、タモキシフェンは骨を強くする、守る方向に働きます。AIが子宮体がんの確率を落とす効果があるかについては報告はありません。そしてタモキシフェンの子宮内膜への刺激は薬をやめればなくなります。つまり可逆的ですが、AIによって進んだ骨粗鬆症は、たとえAIをやめても原則元には戻せません。
現状 乳がん術後のホルモン治療は10年継続するように指導されている方は多いと思いますが、閉経後に限定した場合、その多くは60歳以上の女性になると思いますが、70歳になるまで10年ずっとAIで行くかどうかは、慎重でなければならない、と私は考えています。がんを抑制する効果は高くても、骨が脆くなってしまって、Quality of Life(=QOL) 生活の質、が下がってしまったら、元も子もない、と考えているからなのです。


ノースカロライナ大学チャペルヒル校ラインバーガー総合がんセンターのダニエル・R・リチャードソン医学博士(理学修士)らが最近発表した研究結果では、706人の進行したがん患者さんのうち、生存期間の延長を優先したのはわずか8.4%であったのに対し、QOLの維持を優先したのは71.7%で、残りはどちらでもないか中立だったと報告しました。
さらにクラスターランダム化試験の二次分析によると、進行がんを患う高齢患者は生存期間の延長よりも生活の質(QoL)の維持を優先する傾向があり、そして結局患者さんがどちらを希望し、優先しているかどうかに関わらず、こうした好みによって患者の転帰に差は生じなかったと言うこともわかりました。つまり事前の治療変更、またはグレード 3 ~ 5 の治療関連有害事象 (TRAE)、入院、死亡率などの下流の臨床結果がどちらを優先するかが異なる患者グループ間で比較しても結局差がなかったのです。それはおそらくそういった患者さんの志向によって、治療者が内容を変更することがないことも示していると考えられました。
編集者のメモオクラホマシティにあるオクラホマ大学ヘルス・スティーブンソンがんセンターの医学博士、公衆衛生学修士、経営学修士であり、JAMA Oncologyの副編集者でもあるライアン・D・ニップ氏は、「がん患者の大半は高齢者であり、この集団の QoL の優先事項を評価し、対処する研究をさらに進める必要がある」と書いています。「この研究が示したように、がんを患う高齢者は生存期間の延長よりもQOLの維持を優先することが多いのですが、私の知る限り、こうした患者のQOL向上を目的とした介入を評価した研究はほとんどありません」と彼は指摘しました。「こうした取り組みには、患者中心のケアを促進し、老年腫瘍学の分野で行われている革新的な研究に基づいた介入の開発と検証が含まれます。」

乳がん術後のホルモン治療に関しても、この研究と同じことが言えそうな気がします。
少なくとも65歳を超えた方に関しては、ホルモン治療を受けるかどうか、だけにとどまらず、その得られる効果、そして副作用も説明した上で、AIを選ぶか、SERMを選ぶか、話し合う必要があると私は考えます。そしてはそれはホルモン治療開始のその時だけではなく、たとえば1年ごとに副作用の出現やその程度を見極めながら、繰り返し話し合っていく必要があると思うのです。
そしてそうして患者さんの志向を聞いて、ホルモン剤を選んでいった場合と、医療側が最善と思われるホルモン剤を一方的に決めていった場合で、生存予後にどの程度の差が生じるのか、生じないのか? そしてその患者さんの人生の満足度にどのような影響が及ぶのか、ライアン先生の主張されているように、きちんと調査されるべきではないか、と私は考えます。
まとめ
進行がんを患う高齢者を対象とした研究では、生存期間の延長を優先したのはわずか8.4%であったのに対し、生活の質(QoL)の維持を優先したのは71.7%でした。
生存を優先した患者とQOLを優先した患者の間で、初期治療の変更や臨床結果に有意差はありませんでした。
これらのデータは、現在の腫瘍治療提供システムが患者の好みに対応できていないことを示唆していると研究者らは述べました。
私はこの結果をAIとSERMに準えて(なぞらえて)みました。
乳がんを患った高齢者を対象とした研究では、生存期間の延長を優先したのはXX%であったのに対し、生活の質(QoL)の維持を優先したのはZZ%でした。(もちろんまだそのデータはありません。)
生存を優先した患者とQOLを優先した患者の間で、初期治療の変更や臨床結果に有意差は〇〇した。(差が出るでしょうか? 出ないのでしょうか?)
このデータから、今後は特に高齢の女性乳がん患者さんにおいては、患者さんの志向を加味してホルモン剤を臨機応変に決定していく****(べきなのでしょうか? まだわかっていません。)
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